荒廃竹林の整備

此方の節では、ほぼ侵入が困難な荒廃竹林に入って、どの様に整備を進めるかを三つの工程に分けて紹介します。

永らく放置されて荒廃した竹林は、まず立ち入る事が困難です。その風景は、章1「周防大島とは」の節「周防大島の竹林」でショットを載せて紹介しました。あのショットでは3種類の竹が写ってましたが、お判りに成りましたでしょうか?

其れらは、
① 朽ちて節の所で折れ、地表に横たわる枯れ竹
② 枯れて其のまま自立しているか、他の竹に寄り掛かっている枯れ竹
③ 生きていてしっかりと自立している青竹
です。

更に大別すると、①②枯れ竹③青竹と二分出来ます。此方では、初めて切り込む竹林を意識し、安全の為に足場をまず確保する必要が有りますので、①と②は敢えて別々の工程としてます。作業工程の順番は①→②→③と簡単な事から進めますが、状況に依っては安全に配慮して組み合わせたりする事が有ります。

 

〇 枯れ竹の処分

枯れ竹の除去作業は、チッパー道を敷設する作業も併せたりします。横に重成る枯れ竹を引っ張り出し、脇に片し乍ら、1.5m位の幅員の小道を確保して進みます。平坦な場所ですと、生青竹や立ち枯れ竹を避け乍ら進みますので、時に曲りくねった小道が出来たりします。

チッパー道(小道)が出来ましたら、チッパーを登場させて、脇に片した枯れ竹や地面に横たわる周辺の枯れ竹を集めて粉砕し、辺りに撒きます。此の枯れ竹を粉砕したチップを竹林内に撒くのは、防草効果を施す為で在り、春に出る筍が大きく成り期待も含んでます。

立ち枯れ竹は、作業の進み具合で一緒に倒す事も有りますが、状況に応じて臨機応変に安全を判断して進みます。

 

写真掲載待ちです。

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立ち枯れ竹の倒し方を少し紹介します。

立ち枯れ竹は、繊維がしっかりした青竹が枯れた竹ですので、とても固いです。手鋸で切り倒しては全然捗りません。ですので、チェーンソーを使います。

(注:チャップスを必ず装着して作業をしましょう。)

チェーンソーのガイドバーの長さは25cmで充分ですから、ホームセンターで数万円で手に入ります。で、安い燃料エンジン式か、流行りのお高い電動式か? はい、絶対に後者の電動式です。

荒廃竹林は、まず竹しか生えてません。枯れが有りますが、多くは腐ってますので切らなくても倒せます。稀に、竹より高い立派な巨木がしっかりと立って居る事が有りますが、態々切り倒す事はしません。

孟宗竹を切る事に要する時間は30秒程度です。切り倒しては、運べる様に分断(6m長玉切り)し、片す。この繰り返し作業を広大な竹林の中の限られた狭い場所で行います。よって、ボタン一つでOn/Off出来て、すぐに起動し、竹を切り終えたら直ぐに止める。この繰り返しを続けます。ですので、電動式が良い。燃料エンジン式だとスターターを引いて始動するのが非常に面倒で、白秋の腰を虐め無いためにも電動式をお勧めします。

立ち枯れ竹を倒す時の切り方は、ちょっと骨が要ります。基本は教習所で習う「倒れる方向を定める受け口を入れ、追い口を入れ乍ら倒れる速さを調整」なのですが、風でかなりフラフラ撓ります。固い枯れ竹でも主幹()1本のみで18m上に伸びて立ってますから、どっちに傾くかは風次第。まぁ、経験を積んで上達しましょう。

(注:「撓る」の読みって、「しなる」は方言で、「しわる」が標準って、本当?)

此処で注意事項をひとつ。そもそも荒廃竹林ですから、枯れ竹や青竹は密集して立ってます。ですので、「此っちに倒そう!」と狙っても隣の竹に綺麗に寄り掛かる事が多く、簡単には倒れてくれません。揺すって倒そうとしても、上空15m位の所の小枝が更に深く絡まるだけで悲しく成ります。で、どうするか? 追い口はチェーンソーのガイドバー先を使って、チビチビと刃を入れて、最後にコトッと切り株側に上が落ちたらOK。後は、人払いをして、切った竹を持ち上げて広い方に向かって全力疾走。此れ、枯れ竹の場合の話です。枯れ竹は意外に軽いので、持ち上げられます。

上記は平地での条件が良い場所での楽な方法ですが、まぁ、周防大島は7割が斜面ですので、そんなに楽は出来ません。実際に経験して上達しましょう。

 

〇 青竹の伐倒

枯れ竹の排除が終わりましたら、次は必要に応じての青竹の除伐です。ただ、生青竹はかなり重くてかなり撓るので、其の除伐はとても大変です。

因みに、枯れ竹は硬いのですが、青竹は生で水分をたっぷり含んでますので、割と柔らかいです。時々、枯れ竹の処分に永い時間を費やした後、意識せず調子に乗って生竹にチェーンソーの刃を深く入れ過ぎて失敗する事が有ります。チェーンソーがキュンって泣いて緊急停止したらアウト。「あっ! あぁぁぁ、やっちまったぁ~😢」 はい、受け口を深く切り込み過ぎて、撓り易い青竹がガイドバーをガシッと噛んで仕舞いました。こう成ると大変、メンバー総出で紐掛けて逆に引っ張るとか、別メンバーが手鋸で追い口から切って行くとか、危険のオンパレード。決して、慣れで作業をしては活けません、はい!

皆さん、拙者の懺悔のお時間です。

えー拙者は一度遣らかしました。青竹にガシッとガイドバーを喰い付かれて、もぅアウト。力任せに無理して外そうとしてガイドバーを曲げた事が有ります。まぁ、安かったので財布はそんなに痛くは無かったのですが、仲間に「ガイドバーを曲げたお人を初めて見た。」と言われて、心が傷付いたぁ~、凹んだぁ~。

竹を切り倒す作業は、切子と引子と監視役のスリー・メン・セルで行うのがベストです。此の分担は数本切り倒す毎に順繰りで役目を交代します。普通、そうしますよね。お互いの作業内容や人毎の手際の違いを理解し合って、安全は守られます。そうですねぇ、こんな声の掛け方かな。
切子「まず、受け口を入れま~す。」
引子「おぅ」(聞こえた事に返事する。但し、見てるだけ)
監視「・・・」 (切子と引子が同期して居る事を監視)
(キーンッ。(チェーンソーの音))
切子「次、追い口を入れますので、引っ張ってー」
引子「よっしゃぁ!」(掛声と共に力一杯引く。竹が倒れる方向に撓る)
(キーンッ。(竹の撓るのを確認して。切子が追い口を切り始める))
監視「もぅ少し切ってぇ。・・・止め!」 (タイミングを計って指示)
(ザザーッ。(竹が狙った方向に倒れる音))

 

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なお、荒廃竹林整備活動では、生青竹の除伐は必須では無いと考えます。あんなに重たくて長く、葉が多く付いた青竹は片す作業が大変で有り、チッパーで粉砕するにも太くて硬過ぎて困難が多い作業なのです。ですので、立ち枯れるのを待って、除去作業するのは一つの手と考えます。

筍の原資還元化を期待しない竹林の再荒廃化を防ぐ手段としては、枯れ竹だけを処分し、青竹には手を付け無いのも有りでしょう。そして、春に筍だけを狩って楽しむのも一つの手段と考えます。春に出た筍は全て切り倒します。柔らかいので、蹴り倒しても良いですし、手鋸で容易く切れます。また、猪に手伝って貰う事もまぁ一案でしょう。防護柵を張らなければ、好き勝手に掘り起こしてくれます。後は、青竹が立ち枯れるのを待つだけで、其の竹林の竹の絶対量は減る一方です。俗に云います「ゼロ筍対策」ですね。

繰り返しますが、筍や竹材の収穫に依る還元を期待し無いので有れば、長期目線から青竹の除伐は必須では無く、青竹を増やさ無い手段も選択のひとつです。

 

〇 斜面での重機進入路の確保

斜面に在る荒廃竹林を整備する場合、平地の場合と異成り、少々大変です。まず一番に、斜面の下側にチッパー道を等高線に沿う様に敷設します。初めて切り込む場所ですので、予定動線上に有る立ち枯れ竹や生青竹が邪魔に成りますので、其れらも幅員分だけ切り倒し排除して進みます。皆で話し合い乍ら、溜め息をつき乍ら、狭い所で重たい生青竹を倒したり片したりします。ちょっと危険で詮無い作業です。

斜面の下に予定のチッパー道が作れる幅が確保出来ましたら、ユンボーの登場です。斜面に幅1.5m位の水平の道をユンボーで削って/均して敷設します。チッパーは結構のヅングリ・ムックリさんなので、斜面に対して横向きだとゴロンと転がります。1t位有りますので、山の中で転がると、誰も助けられません。ですので、ユンボーで水平面の道を敷設します、

水平なチッパー道が出来ましたら、①②→③の順に上から下の方に竹を投げます。投げれる長さに切っては下斜面に向けてホイッと放うります。勿論、下にはチッパーも誰も居無い事。そして、自分の肩や腰を痛め無い事、大事。

チッパー道より上の斜面の枯れ竹が無く成りましたら、チッパーで順次粉砕処理を進めます。そして、次は必要に応じて青竹を切り倒し、同じ様に下のチッパー道に集めて、粉砕します。枯れ竹と青竹は別々に分けて、作業を2回繰り返します。青竹は重たくて危険な代物、でも割と価値が有る代物でも有りますので、別々に処分してます。