持続的活動への還元・竹
此の節では、青竹/枯れ竹をを原資に変える可能性を少し紹介致します。竹を提供する場合、2つの竹の形が考えられます。
一つは、切り倒したままで其々の用途に合わせて長さを調整して提供です。長さは、11.5mとかなり長い場合や、数拾cmの場合も有ります。ただ、割に合わないのが、竹は中が空洞ですので搬送の効率がとても悪いという事です。
2つ目は、粉砕して届けると云う方法が有ります。ただ、手作業での粉砕は到底不可能で、チッパーシュレッダーと言われる数百万円の重機が必要と成ります。周防大島町では此の重機を所有されて居り、町民団体に無料で貸し出しして頂けます。そうですね、山口県の地方自治体の多くは所有されて、貸し出しを行われて居ると聞きます。何処の自治体がお持ちかは其々の農林課等へお尋ね下さい。
〇 青竹で原資還元① ー 牡蠣筏の竿
瀬戸内海では牡蠣は身近な食材です。心得て居れば岩場で見つける事が出来ますし、勿論、養殖が盛んです。
ご存知ですか? 牡蠣の出荷量の統計的数値を。広島県が一番で、96t/159t=60% です! 全国の店頭に安定供給するにはかなりの努力が必要なので、色んな技術の積み重ねと改良の努力が結集されていると敬服致します。
カキ(牡蠣)の産地と生産量を教えてください。:農林水産省 (maff.go.jp)
宮城県や岡山県、更には福岡県とか有名な産地が有り、其々違った牡蠣を味わってみたいなと思いませんか? 巡りたいなぁ~、楽しいだろうなぁ。
広島県や山口県で荒廃竹林整備活動を続けてますと、自然に牡蠣筏との接点が生まれます。で、頂いた繋がりは積極的に育てないといけないので動きました。流石にお膝元ですから、どっぷり嵌りました、はい。切っ掛けは、拙者がシーズン中に広島と周防大島を週2回往復する時に、必ず1回は寄らせて頂く牡蠣専門食堂の「かきの館 寺岩」さんです。
拙者は、
「此処の牡蠣は旨いなぁ~」
「自分とこで養殖してるんだから、牡蠣筏を持ってるんだろなぁ。」
「・・・て事は、竹竿の話をすると聞いてくれるのかな?」
と、下心パンパンで親しく成ったマスターに
「あのぅ~、牡蠣筏を作られてる業者さんって、繋がり有ります?」
と聞いたら、意外にスコーンっと話が進んで仕舞いました。で、今はどっぷりと。
紹介頂いたのは、若い青年団の方々が起業した「Marine Produce KC(MPK)」の代表 の方。おぉ、若い方達の真摯な活動を支える為、協業は願ったり叶ったりと早速に連絡を取りました。宮島が見える海岸沿いの或るファミレスでお会いしたのですが、
「おぉ、カッコええ青年だぁ、笑顔がとっても可愛くて男前。惚れてまうやろー。」
でした。実は、TOKIOの山口君似だったのです。ご本人曰く、「はい、よく言われます。」ってさ。でも、ご安心下さい。最初にお会いしたのは2年前で、今は3周り横に大きく変身されてます。
「どしたぁん、イメチェン?」
「やっぱしぃ、可愛い嫁さんとお子さんの幸せ家族だからねぇ。」
「激xxりは避けられ無いよねぇ~。」
って、思いっきり警告しときました。
はい、牡蠣筏用竿の話に戻ります。代表の広島のTOKIO山口君に2020年の冬でしたか周防大島の荒廃竹林を視察に来て頂きました。そして分かったのは、周防大島の荒廃竹林には牡蠣筏に使える立派な青竹が多く有るとの事です。但し、大型ロングのユニック車で持って帰る為には其れ成りの幅員の有る搬出路が必要で、周防大島には其れが少ない。且つ、広島迄の工場に持って帰る距離も課題で、トラックの燃料代が儘に成ら無いとの事です。正直に真摯に伝えてくれて有難うって気持ちです。
瀬戸内の島は急傾斜が多いので、近い幹線道路迄の人手で運ぶ手間(工数)が掛かります。更に、竹林を残す場合は間引きを兼ねて除伐を進めますので、余計な時間を要し、お互いにWin+Winには成りません。其の時は、残念な結果で終わりましたが、いろいろとチャネルを持ってますと良いご縁を頂けます。下に載せたショットは或る造成地を開拓する為に広大な竹林を全て除伐している現場です。
県の土木課や農林課も入られて進んでいるのですが、ご覧の様に竹が立派過ぎて処分が儘成ら無いので支援依頼が当方に来ました。工事を進められている会社の責任者は、竹の処分として燃やすとか埋めるとかは絶対に選択肢には無いとの事で、最終的に此の拙者を頼られたそうです。 でも、お役に立てれるかなと少し心配が有りました。ご覧の様に10tクラスの重機が何台も入って造成されている現場を案内されて、規模の大きさに少し動揺。でも、ピン!と来まして、1年間ご無沙汰して仕舞っているあの彼が居るでは無いか!
早速、「もしもし、広島のTOKIO山口君?、元気?、久し振りぃ~」って電話して仕舞いました。直ぐに、現地視察に来てくれて竹林の中を徘徊し、交渉成立! 良かったぁ、皆さんのお役に立てれたぁと安堵。因みに、一緒に竹林を下見してる時に法面をずり落ちたのは、広島のTOKIO山口君、アンタひとりですから~。減量するのが良いよぉ。
此の造成土地開拓では、大きく工程を2段階に分けて計画を立てました、竹を根元から切り倒し搬出するのは牡蠣筏製作者側が担当し、残った不要な竹の処分は造成工事側が担当としたのです。で、拙者は後半の残った不要な青竹の処分を手伝わせて頂きました。
牡蠣筏に使われる青竹の品質仕様は、
・年齢3~5年生で繊維がしっかりしている。(節の下に白い粉が残っているのは、未だ弱く腐り易い)
・真っ直ぐに成長(或る程度の湾曲は筏を組む時に補正可能)
・稈の長さ11.5mが必要(数本の枝を切り落として長さ確保)
ですかね。
専門の切子さんが来られて、全部を切り倒して下さるんですが、牡蠣筏として使えるのは全体の半分に満た無いです。其れに牡蠣筏に使える竹でも上の枝の有る穂先部の1/3は、使えませんから廃棄です。 と、云う事は半分以上の不良品質の竹と、全ての竹の穂先部は、廃棄処分をしなくては成りません。で、拙者が担当ですのでせっせとチッパー粉砕作業をしました。
〇 青竹で原資還元② ー チップ化
青竹を牡蠣筏製造に提供した後、使え無い不良竹と穂先部をチップ化処理し、原資化に繋げる対応を行いました。此の時、チップ化して市場に出せる品質を確保する為に、出せる部位(稈)と出せ無い部位(枝)に分けて処理しました。此の仕分けする作業は、良い品質の竹チップを提供する為には重要ですのでご留意ください。
此処からは、粉砕して出来た竹チップには竹の部位で品質が大きく違う事を以下で紹介します。
枝が付いた上1/3の穂先部と、枝の無い根元側2/3の主幹(稈(かん))部の2つに分別します。小枝を含むか含ま無いかで、青竹チップの取り扱いに差異が出ます。小枝を含ませてチップ化しますと、小枝が各チップと絡んで解れ難く成ります。此れを良しとするか否かは用途に依っての判断です。ただ、小枝が絡んで解れ難く成る事は、取り扱いが非常に難しく成る事ですので、チップ化する時に其々を分別する事をお勧めします。
(枝が付いた上1/3迄の穂先部だけを粉砕したチップのショット)
前記で、「取り扱いが非常に難しく成る」と表現しましたが、大袈裟では無く、大きな差が出ます。
まず、枝が付いた上1/3迄の穂先部だけを集めてチップの山を作りますと、小枝達が上手く絡んで固いチップ山が出来ます。崩すそうにもしっかり絡み過ぎてスコップとかでは先が入らず、ホークで無いと崩す事が困難な程に堅いチップ山です。但し、しっかりと絡む事を利用して不織布の様に竹林の地表に均等に撒くと防草シートの様に使えて非常に効果を発揮してくれます。意識せずに安易に枝が付いた穂先部だけでのチップ山を作りますと、後が大変と云う事を御留意願います。ですから、チッパーで粉砕してる時にはチップ噴出口である砲塔の向きを頻繁に調整して均等に撒くと、辺り一面は不織布の防草シートの如く竹チップが張れます。
穂先部のチップは取り扱いが非常に困難ですので、原資化を期待する事はお勧め致しません。
(枝の無い根元側2/3の稈(かん)部だけを粉砕したチップのショット)
小枝の無い根元側2/3の稈部で作ったチップは、スコップで簡単に掬えて、辺りにばら撒くのも簡単です。稈部のチップの山は、簡単に崩す事が出来ますので扱い易いと理解して下さい。此のパラパラ感が良いか悪いかは使用目的次第。良い例えか判りませんが、皆さんのお家の庭に小径を設け様とした場合、玉砂利を敷いたりしますよね。売られている玉砂利は粒の大きさが揃ってて泥などは付いて無いので、均等に綺麗に敷く事が出来ます。同じ様に、竹のチップを造園等に使う場合、良い品質が求められ、大きさが揃ってて敷くのが容易い事が求められます。
以下では、青竹チップ化で大変お世話に成った事業者様を締めとして紹介させて頂きます。
まず、荒廃竹林を憂いで山口県で広く活動されてます三輝トラスト(株)さんです。荒廃竹林整備活動に対して多くの知見をお持ちで、拙者は事業所迄押し掛けて色々と見学・勉強させて頂きました。
山口県 竹林伐採 | 里山保全 | 三輝トラスト株式会社(山口県宇部市)
次に、広島県で活動されてます若い事業者様も此処で紹介させて頂きます。此方のTEGOさんも荒廃竹林を憂いで居られ、整備後に排出される青竹の色々な利用策を実際に行って検証されてます。そぅ、原資化には深い造詣をお持ちで、色々と教えて貰いました。
TEGO|竹の魔法で未来を創る。 (広島県呉市)
〇 青竹で原資還元③ ー 工業加工材料
青竹を原資に還元する手段として次に紹介します方法は、工業加工製品の原材料として提供する事です。ただ、ご注意頂きたいのは、竹を原材料として供給する場合、かなりの労力が必要とされ、安定供給を次工程に保証出来る体制を整える必要が有ります。残念乍ら、今日の周防大島には其れに注ぐ元の力が不足しています。
更に、大きな設備が必要と成る場合、投資が発生します。荒廃竹林整備活動は事業化への可能性を生む迄の範囲で行いますので、以下では可能性の或る製品を紹介するだけに留めます。もし、荒廃竹林整備で排出される青竹を欲しいとお考えのお方が有られましたら、ご連絡下さい。はい、活動継続範囲内で提供させて頂きます。
竹のままで加工して作られる製品、または竹の繊維の特徴を活かした製品、竹はいろいろと可能性が豊かで拡がりが有ると考えます。竹を使った製品をイメージされる時は、木を使った製品を想像されると良いでしょう。目の前に有る木の製品をご覧に成って、竹で作るとどう変わるんだろうと。更に、ご留意頂きたい蘊蓄をひとつ。竹は毎年生えて来ます。そして、稈(かん)は3年生で繊維がしっかりします。一方、木は立派に育つには10年は必要で、枝落とし等の高等技術が品質保守には必要です。
竹は木と違って枝が生えた所の節が幹(稈)には無く、年輪も有りません。ホームセンターで2x4の木材を買う時に、木材の節が少ないのを選んだりしませんか? 更に、年輪の間隔が狭くて詰まっていて重たくしっかりしたのを選びますよね。竹で2x4の角材は無理ですが、ベニヤ板の様な合板を竹で作りますと均一な製品が出来ます。
他に加工品としては、割り箸や菜箸、食器に品質の良い材料として使われます。但し、中国製品に押されて残念です。
(竹加工品を提供されてる企業様のHP)
加工品から視点を変えて、竹の繊維に注目した製品も有り、良い品質を提供されてます。そう、ファイバーです。一番の代表格は竹紙です。拙者も下記メーカーさんの竹紙を使ってポスターを作り、親しい方々のお店に掲載させて頂いてます。竹のパルプ繊維は均質で長いとの事で、つるつるした紙に成ります。何かコーティングしてある様で撓やかな素敵な紙です。
竹紙 – 中越パルプ工業株式会社 (chuetsu-pulp.co.jp)
“竹紙” – 1枚から紙を買えるネット通販 紙販売のPapermall(ペーパーモール) (kpps.jp)
竹のファイバーは更に細く成ったのも有り、ナノファイバーとして或る樹脂の強度を上げる材料として期待されてます。もし、実現出来ましたら、お声掛け頂けますと幸いです。
(竹のナノファイバーの期待値を紹介するサイトURL)
竹を蒸解した繊維粘土を轆轤で廻して器に。使い捨ての竹食器
(工場量産品)
竹紙(中越パルプ工業)
竹ベニア(浜松)
竹の割り箸
竹の牡蠣筏(廿日市)
竹の自転車(萩)
竹蜻蛉・伝統民芸品
〇 枯れ竹で原資還元 (一部、起稿待ち)
枯れ竹でも運用の仕方で少しは原資還元に近付ける事は出来ます。
まず、初めて切り開く荒廃竹林では、もぅ何年も前に枯れて地表に倒れた竹が多く有ります。其れらはボロボロで、粉砕してチップ化は簡単なのですが、持てるエネルギー量が少ないので、市場への提供は控えてその場で土に戻しましょう。
立ち枯れ竹は、未だしっかりした硬さを持ってますので、粉砕してバイオマス燃料等に使えます。実は、此の立ち枯れ竹のチップは、様々な意味で燃料に適してます。但し、竹の世界に限ってと深い意味を込めて。
少し後戻りさせて下さい、青竹を燃やす時の心得を此方で紹介させて頂きます。まず、青竹は多くの水分を含んでます。質量比で何割だったかな? 油成分もたっぷり持ってますが、余りに水分量が多い為に。燃やすのならまず乾燥させます。適度に乾燥した竹は、火が付きますと当に烈火の如く(感情を例える表現ですので、此処で使うのは間違い)ゴーっと音を立てて燃えて、あっという間に燃え尽きます。ですので、青竹を燃やすなら、一度、乾かすのが良い。
次に、竹は燃やすには厄介な或るミネラルを豊富に持ってます。そうです、野菜とかの作物を育てる時に注力する三大栄養素の「窒素(N)・リン酸(PO)・カリウム(K)」の内のカリウム(K)を豊富に持ってます。ですので、青竹を砕いて擦って粉末にすれば肥料として利用できます。しかし、カリウムを含んだままで燃やしますと黒いドロドロで金属を腐食させるタールを作って仕舞います。此のタールを生む欠点は、バイオマス発電等のボイラーを劣化させる原因ですので、青竹を燃料に利用する事を敬遠されます。 ただ、カリウム(K)は水溶性ですので、雨に晒す事で流れ出て、燃やしてもタールを作らなく成ります。ですので、切り倒した青竹は竹林の端に積んで半年間を雨に当ててから、チップ化して何とか使えるのかなと考えてます。
実は、周防大島の孟宗竹はとても立派で、根元から地上6m位迄は直径Φ20cm以上有り、硬過ぎてチッパーではなかなか粉砕が困難です。しかし、半年位を放置して乾燥させると其れ成りに脆くなり、割と楽に粉砕できます。根元から6mは切り落として、決めた所に整然と積んで、粉砕は枯れ竹に成った半年後に行ってます。 なお、雨に晒しますとカリウム(K)が流れ出しますので、防草用に敷くには枯れ竹のチップの方が適しているのではと考えてます。
原資化の先としてバイオマス発電の燃料も考えられます。科学的に分析検証されてます事業者様を紹介させて頂きます。
ミツウロコ岩国発電所|発電所のご紹介|会社情報|ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 (mitsuurokogreenenergy.com)
此方の事業所様にも工場見学に行かせて頂き、勉強させて貰いました。前記しました様に、竹はミネラルKを多く含み、燃やしますとボイラーを痛めますタールが出来ます。此れを何とか出来ないかと他の木材との配合比を研究され、配合比価をお持ちです。
最後に竹ならではの御留意事をひとつ。竹の幹(稈)は空洞ですので、切り倒したままでは容積を喰うばかりで搬送等では非常に効率が悪いです。牡蠣筏製造用に提供する以外は、省エネの為に荒廃竹林の除伐現場で粉砕(チップ化)処理を行ってから搬出する事が良いでしょう。物流コストってのは、侮れ無い代物です。